CHAIRMANS EYEとは
30リーグチェアマンの上田ダイゴが
独断と偏見と妄想で
30リーグ2023の見どころや
注目ポイントを紹介するコーナーです
今回は第四節
『[フキョウワ]×演劇ユニット衝空観』を
独自の目線で徹底解説します!!
劇団天文座脱退という大波乱により早くも30リーグ優勝決定戦『30CLIMAX』への進出団体が『虹色りきゅーる』に決定した火リーグ。その対戦相手を決める劇リーグの第二戦となる第四節『[フキョウワ](以下フキョウワ)×演劇ユニット衝空観(以下衝空観)』がいよいよ迫って来た。
CHAIRMANS ANALYZE
まず満を持して30リーグ初戦を迎えるフキョウワ。『認知的不協和の中で生きる人々を肯定的に捉えつつ、シニカルとエスプリでPOPに描く作風(団体紹介より)』で、メキメキと頭角を表している注目団体だ。私はまだフキョウワの作品を一本も観た事がないので団体の特色に関する言及は出来ないが、今回の作品を作るにあたっての火ゲキ運営部への質問の多さを見る限り、作品作りにおいて並々ならぬ執念とこだわりを持っている事は明白。火ゲキ30×30という『出来る事が限定されている舞台』で出来る限りのギリギリまで攻めてやろうという気概を感じさせる。
対する衝空観は初戦となった第二節に30×30初参加作品の再演で挑んだものの『遊劇!浪漫派FAMILIAR(以下FAMI)』にほぼダブルスコアの30票差で敗北。この第四節で負ければリーグ敗退が決定してしまうばかりか、たとえ勝ったとしても優勝のためには第六節でフキョウワがFAMIに勝ち、且つ全団体が一勝一敗で並んだ上での得票数勝負に勝つ必要があるというかなり厳しい状況だ。
しかし衝空観にしてみればこの状況はある程度想定の範囲内だったのかのしれない。確かに初戦の大敗は想定外だったかもしれないが、このリーグ戦を勝ち抜くために『一戦目を再戦作品で凌いで、二戦目に新作を投入して勝負をかける』という前回王者『謎の女---《まなみ》。』も採用した戦術を用いていると考えれば、そこまで悲観すべき状況とは言えないからだ。
衝空観がリーグ優勝する為には第四節にただ勝つだけではなく、上記の通り得票数勝負を見越して圧倒的な得票数で勝つ事が求められる。得票数とは言い換えれば観客数。つまり圧倒的な集客をしないと優勝の可能性がなくなってしまうのだが、それを見越してか団体のファンにとっては待望の新作、さらにはキャストも第二節の2名から4名に倍増するという、確実に集客力アップを見込める戦略を用いて来た。その効果なのかチケット予約状況も良好で、このまま行けば両ステージSOLD OUTも決して夢ではなく、そうなれば衝空観の逆転優勝の可能性がぐっと高まる事は間違いない。
もちろんいくらお客さんが入ってもこの試合に勝たなければ意味がないのだが、勝利に対するモチベーションにおいても衝空観に一日の長があると私は推測する。
これはあくまで私感であるがフキョウワと衝空観は30リーグ開幕前より『自分たちの表現をやり切る事が第一、勝敗は二の次』といった雰囲気があった様に思い受けられる。と言ってもこれは別に珍しい事ではない。そもそも演劇で勝ち負けを意識しろという方が特殊なのであって、両団体とも至極真っ当な反応であったと言えるだろう。しかしそこは勝負事。いくら『勝ち負けは気にしない』と思っていても、いざ負けを経験するとそう簡単に受け入れられるものではないと気付かされる事がある。
30リーグ開幕前には希薄だった勝利への欲求。それが第二節で苦杯を嘗めさせられた事によって大きく膨らんだと考えるのはあながち的外れとは言えないのではないだろうか。
ただし、勝利に対するモチベーションが必ずしも勝利の糧として機能するとは限らない。強すぎる勝利への渇望が敗北への恐怖となり、プレッシャーとなってしまう事も往々にあるからだ。その点フキョウワは待ちに待った初陣。初戦の衝空観と同じく、敗北を恐れず『勝敗よりも自分たちらしさ』を存分に発揮する事を本懐として挑んで来ると思われる。
純粋なまでに己のスタイルを貫くフキョウワが無欲の勝利を掴むのか?それともリーグ優勝への望みを繋ぎたい衝空観が待望の勝利をもぎ取るのか?
上田ダイゴ(30リーグチェアマン)
0コメント