Chairmans EYE -第二節展望-

CHAIRMAN'S EYEとは

30リーグチェアマンの上田ダイゴが

独断と偏見と妄想で

30リーグ2023の見どころや

注目ポイントを紹介するコーナーです

今回は第二節

『演劇ユニット衝空観×遊劇!浪漫派FAMILIAR』を

独自の目線で徹底解説します!!

前代未聞の演劇リーグ戦『30リーグ2023』。劇リーグの初戦となる第二節は『演劇ユニット衝空観×遊劇!浪漫派FAMILIAR』という顔合わせとなった。今までお互いに面識は殆どなく、ほぼ初めまして状態での激突となる両者。当然遺恨や因縁もなければ対戦相手を意識した戦略や戦術を立てる事も難しいと思われるので、この一戦においてはお互いが己のベストを尽くす事に注力するのではないかと予想される。

もちろんベストを尽くすと言っても、そこは火ゲキ30×30に何度も参加した事のある両雄。『良い作品を作れたら勝ち負けは気にしない』などという甘い考えではなく、良い作品を作るのは当然として、その上で30リーグで勝つためのベストを尽くそうとしている事が随所に伺える。


CHAIRMANS ANALYZE

まずは先攻を務める銭山伊織の一人ユニット『演劇ユニット衝空観(以下衝空観)』。公演ごとに変わると言っても過言ではないほどジャンルは多種多様だが、コメディでもシリアスでも自分の中身を全すべて曝け出すかの様な作風が最大の魅力だ。火ゲキ30×30には過去に二度参加しているが、その2作ともまったくベクトルの違う内容であった。

そして今回30リーグ初戦に用意した作品『セミロウ』こそ、何を隠そう火ゲキ初参加となった2017年の30×30pair.61にて上演された作品なのである。

約4年ぶりの火ゲキ30×30(前回の参加は2019年)、しかも30リーグという闘いの舞台に衝空観にとって原点と言えるであろう作品を持って来る。そこから感じ取れるのは作品に対する愛着と、今ならもっと良い作品に出来るという自身の成長に対する自信、そして結果を出して己の成長を感じたいという勝利に対する渇望だ。

さらに言えば30リーグで勝つための戦術としても、初戦に再演作品というチョイスは非常に理に適っている。現に第一回の30リーグにて決勝戦『30CLIMAX』に駒を進めた『謎の女ーーー《まなみ》。』『カヨコの大発明』も、初戦を再演作品、二戦目を新作という戦術を採用しており、優勝した『謎の女ーーー《まなみ》。』に至っては衝空観と同じく初戦に30×30初参加作品を持って来ているのだ。衝空観が二戦目に新作を持って来るのかは今のところ不明だが、もしそうであれば第一回優勝団体とまったく同じオーダーを採用した事になる。

自分の原点を仮想敵とし、それを乗り越える事で勝利を掴もうとするストイックさと、最もオーソドックスな戦術で攻める堅実さ。破天荒な作風故にともすれば『勝敗は二の次なのではないか?』と思われがちな衝空観だが、実は勝利に向けて打つべき手をしっかり打っているという印象である。

そんな衝空観に対するのは『遊劇!浪漫派FAMILIAR(以下FAMILIAR)』。結成動機が火ゲキ30×30に参加するためという、文字通り火ゲキが産んだといっても差し支えないユニットである。衝空観と同じく火ゲキ30×30には過去二度参加しており、老若男女が楽しめるコメディタッチのホームドラマが得意という印象が残っている。

そしてこれも衝空観と同じく今回が4年ぶりの火ゲキ30×30参戦となるのだが、FAMILIARは新作を投入する事を選択した。それもそのはず、FAMILIARにとってこの今回は待ちに待った公演であるはずだからだ。

実を言うとFAMILIARは2020年にも30×30参加が決定していたのだが、コロナ禍における緊急事態宣言を受けて公演が中止。さらにその後、主宰である牛島氏の体調面の問題などが重なり、活動したくても出来ない状態が長らく続いていた。つまり今回は待望の活動再開であり、今まで溜めに溜めた『演劇をしたい!』熱い思いを全力でぶつける舞台なのだ。

熱い思いはそれだけではない。上記の通りそもそもの結成動機が火ゲキに参加したいからという団体である。火ゲキというイベントに並々ならぬ思い入れを持ってくれているであろうし、そんな火ゲキから生まれた30リーグの闘いに燃えていない訳がない。現に牛島氏はTwitterにて「30GPに出たい理由が出来た」と発言。これは言うまでもなく30リーグ優勝の副賞である30GP出場権の事を指している。つまり火ゲキのために生まれた団体として、30リーグ制覇はもはや使命という事であろう。

演りたくても演れなかった演劇への思いと念願の参加となった30リーグへの思い。この熟し切った二つの熱い思いが一体となった時、舞台上はとんでもないエネルギーに満ち溢れるのではないだろうか。

今までまったく交流のなかった両団体なれど、旗揚げ年度といい2017年と2019年に火ゲキ30×30に参加しているところといい、キャリア的にはほぼ互角と言える。そして形こそ違えど勝利への意欲もほぼ互角。もしかするとこの先もライバルと呼ぶに相応しい関係になるかもしれない両雄のファーストコンタクトをぜひその目でご覧頂きたい。


上田ダイゴ(30リーグチェアマン)

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