Chairmans EYE -第一節展望-

CHAIRMAN'S EYEとは

30リーグチェアマンの上田ダイゴが

独断と偏見と妄想で

30リーグ2023の見どころや

注目ポイントを紹介するコーナーです

今回は第一節

『虹色りきゅーる×劇団天文座』を

独自の目線で徹底解説します!!

ついに第二回の開幕を迎える前代未聞の演劇リーグ戦『30リーグ2023』。その開幕戦となる『虹色りきゅーる×劇団天文座』は、両団体の因縁がそうさせるのか波乱含みの対戦となりそうだ。


CHAIRMANS ANALYZE

因縁と波乱を説明する為にまずは両団体を紹介しよう。30リーグ2023のオープニング作品となる先攻を務めるのは『虹色りきゅーる(以下虹色)』。実は 30リーグのオープニングというだけでなく、団体としてもこれが旗揚げ公演というフレッシュな団体だ。

実力や作風は旗揚げ前なのでまだ未知数ではあるが、ゴシック調の耽美な世界観を思わせる力の入った宣伝ビジュアルを見る限り、この公演に賭ける意気込みは相当のものと読み取れる。

そして虹色を語る上でどうしても避けて通れないのは、虹色が今回の対戦相手である『劇団天文座(以下天文座)』の退団したメンバーで結成されたという事実。これが上記の『両団体の因縁』である。

退団理由について私はまったく聞いていないが、お互い30リーグ参加を知っても出場を辞退しなかったのだから、少なくとも『顔を合わせるのも嫌』という様な後味の悪い別れ方ではなかったと思われる。しかし退団してさほど間を置かずに旗揚げしたという事は、どうしても『劇団に居ては表現出来ない何かがあっての退団・旗揚げなのではないか?』と推測したくなる。

自分達で表現したい事があり、退団という決して軽くないであろう決断を経て迎える旗揚げ公演。そこでまさかその退団した古巣と対戦する事になろうとは。よくこの様な場合『勝つ事が最高の恩返し』などという文句が使われるが、今回のあまりにも早すぎる因縁の対決は、虹色にとっては『退団という決断の答え合わせ』という意味合いが強いかもしれない。自分たちの決断は間違っていなかったと証明するのに、今回の勝利以上のものはないであろうから。

そんな元仲間の挑戦を受ける形となる天文座。現在劇団員19名という大所帯に加えて、自らのアトリエ(稽古場)を構えてほぼ月イチのペースで公演を開催しているという、非常にパワフルかつアグレッシブな劇団だ。火ゲキ30×30にも何度も参加してくれており、作演二人体制という特徴を利して公演毎に様々なジャンルの作品に挑戦している。

そしてやはり今回も新しいチャレンジを試みる様だ。なんと出演者が劇団員19名全員という、30リーグはおろか30×30としても史上最多出演者の作品で勝負するというのだ。袂を分かった元仲間の新たな船出に対して全劇団員でぶつかる。ある意味粋な餞とも取れる試みはいかにも天文座らしいといえば天文座らしい。


しかし先日、本番に先駆けて行われた合同通し稽古にて、思わぬ事態が発生してしまった。文頭に記した『波乱』である。


先に合同通し稽古について説明しておくと、30リーグに限らず30×30の公演では必ず行われるイベントのひとつで、本番前(だいたい本番一週間前以内)に両団体が劇場に集まり、音響、照明等のテクニカルスタッフ向けにそれぞれ『通し稽古』を披露するというものである。もちろんその場には対戦団体もいるので両団体はここで初めてお互いの作品内容を知る事になる。

そんな作品のクオリティを左右すると共に、 30リーグ参加団体にとっては前哨戦とも言える合同通し稽古だが、開催の2日前に天文座より『作品の仕上がりが大幅に遅れており、まだ通し稽古が出来る状態ではないので辞退させて欲しい』という連絡が入ったのだ。

確かに天文座は合同通し稽古の行われる4日前まで、今公演に関わる劇団員が多数参加する公演を行なっており、準備がままならなかったであろう事情は容易に想像できる。しかし合同通し稽古に参加しない場合、テクニカルスタッフの準備時間が大幅に減るので、スタッフにかかる負担が大きくなってしまうという重大なデメリットが発生するのだ。しかも今回は19名という大人数が出演する作品。劇団はもちろん舞台監督的にも本番までに一度は劇場で試しておきたかったであろうが、それも叶わなくなってしまったのである。

この天文座の辞退を受けて、結局その日の合同通し稽古は虹色ひと団体のみで開催。自業自得とはいえ本番前に大きなハンデを背負う事になった天文座だが、この波乱の結果、両団体がお互いの作品を知らないまま本番当日を迎える事になった事実を鑑みると、禍転じて福と成す可能性も充分あると思われる。総勢19名という怒涛の物量作戦を仕掛ける天文座としては、下手に本番前に手の内を見せて対戦相手に慣れられるより、本番で一気にぶつけた方がインパクトとしては絶大。相手の心を折りに行くのであれば絶好のシチュエーションと言えるであろう。

開幕早々ドラマチックな因縁と波乱を含んで開幕する30リーグ2023。対戦する両団体は大変だと思うが、観る者にとって『負けられない戦い』ほど面白いものはない。 30リーグに弾みをつける意味でも熱戦に期待したい。


上田ダイゴ(30リーグチェアマン)

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