RIVALS EYE【第一節:演劇ユニット衝空観】

RIVAL'S EYEとは

ライバル達が熱いホンネをぶつけ合う

30リーグ参加団体による公式戦の観戦リポートです

今回は第一節『虹色りきゅーる×劇団天文座』を

演劇ユニット衝空観がレポート

はたしてライバルはこの試合をどう観たのか?

【演劇ユニット衝空観 観劇レポート】


3/28 30リーグ第一節感想

30リーグ2023開幕戦を観劇。


最近はTwitterにて、140字制限の中で感想を綴る、ということに完全に甘えてしまい、まともに感想を書いてこなかった。そのツケが今、字数制限無しという“最弱装備でラスボス“という形で目の前に立ち塞がった。少なくてもいいのだが、この状況下で少ない感想だと末代まで140字縛りを与えられそうなのでしっかり書く。呪い的な。

すでに書いていますが、訳わからないことを綴ると思います。よかったら見てやって下さい。

最近たまたま「芝居の感想は当たり障りのない物もしくは褒めしかない。その後の関係性を悪くしてまで文句を書く必要性がないからだ。」的な文言を見た。

正直、まあそうだわな。と思う。実際僕は書かない。当たり障りのないことしか書かない。ややこしくなりたくないからだ。でも我儘なもんで自分には欲しいと思う。どこが分かりにくかった、面白く無かった、何でも欲しい。それをクリアして次に進みたいのだ。つまりやり込みRPG脳のドMである。

くそみたいな前置きが長くなったが、せっかくの機会なので今回は少しばかり良し悪しに踏み込んで書こうと思う。自分が欲しいからだ。みんなの成長を促してる訳じゃない。だってもしもいつか戦うことになってめっちゃ強くなってたらビビってしまうじゃない。僕はビビりなので。何の話だ。

こんな書き方をしているので偉そうに見えるかもしれないが、偉くない。何様や、と思うかもしれないが、一客の一感想をつらつらと綴った日記のようなものだと思ってください。


虹色りきゅーる×劇団天文座

まず触れておこう。虹色りきゅーるさんは天文座さんから退団したメンバーを中心に立ち上げられた団体だそうで。本日の作品を見て、そりゃ辞めるわな!!が声を大にして言いたい感想である。今までを知らないので簡単にまとめ過ぎかもしれないが、作風がかすりもせん。真逆とかじゃない。並行世界。交わることも認識することもないだろう作風。それを平然とクロスさせる30×30は本当に恐ろしくも楽しい企画であると再認識した。

そんな感じだから円満退団だったんだろうなと思う。喧嘩要素が全くない。

銭山よ。得意の脱線祭りだ。さっさと芝居の感想書けよ。


先行団体:虹色りきゅーる「月光樹の約束」

今回が旗揚げ公演とのこと。まずは旗揚げおめでとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

まず世界観がとても美しい。今日に至るまでの宣伝ビジュアルから衣装、小道具などなどしっかりと作り込んでいた。赤い本が特に素敵だった。

そして開幕から薄暗い中での語り、そして輝く本。正直ここで完成度の高さにグイッと胸ぐら掴まれたような気がした。期待度が膨らむ。

しかしこの後この冒頭ほど掴まれる箇所が無かった。その膨らみに空気が送られることなく、緩やかにしぼみながら終演したような感覚だった。

というのもだ。まずこれは30分でやる内容ではない。60もしくは90分でしっかりやるぐらいには作り込んだしっかりした設定が基盤にあるからだ。

印象として7割ぐらい説明セリフだったのでは?と思ってしまっている。僕は演劇をやってるくせに思考が遅いので、説明セリフ聞いて理解しようとしてる時に別の説明セリフが来ると思考が止まりかける。まあこれは僕が悪い。でも同じような人もいるかも。少なからず。居てくれ。

そして物語の加速度が異常である。起・・・・・・ショウテン糸!!!!!(なんか結に関しては半分はぐらかされた気がするので左半分のみ置いておく)みたいな感じ?文字面で伝わるのかこれ。

登場人物の感情について行けた人はいるのだろうか?とまで僕は思ってしまった。

勿論出演されてた役者陣の中には色々あってバックボーンがあって物語世界観への解像度があるのだろう。あるということはわかる。

ただ僕らが理解出来ないところまで細かくあり過ぎる気がする。しかし脚本通りならばそれは脚本の積み立てが悪いのだろう。真相は謎。

気になったシーンで言うとレボがトレイのことを語りながら少し涙を浮かべていた。僕にはわからん涙だ。その涙で、あ。君あの子めっちゃ好きやってんな。と理解する。そこで爆速の物語を爆速で思い返すと、いやいや裏切られて撃たれたのに泣くほど好きでい続ける要素どこにあってん。となる。多分見せたいのは、裏切られても大切な人は大切だ。的な、ことなのかな?あのわかんないですけど。なんにせよ、もっと必要なシーンはあっただろうしもっと細かい表現方法が必要だったのではないか。トレイをもっと愛させなけれなならなかったのでは?と思ってしまった。諸々ずれていったが、情報としてその辺りの積み立てが中途半端な気がする。全体を通して。客席の情緒が置いてけぼりになったような。

もしかしたら物語の情報に必死になってる間に僕が見落としてしまったのかもしれない。それなら僕が悪い。ごめんなさい。

あとテラーとポートの物語。これに関してはもはや別紙に飛び出ている。いや本編にもサラッと出てたけど。別紙による予備知識込みの30分作品。いやもう90分作品でよかったのでは?

そしてこの作品だけで見るとこの二人、必要性をあまり感じない。なんかTo be continued…要素を強く感じた。これが左半分を置いていった主な理由。

演劇作品は明確な終わりを描かず、その後を見たものに委ね想像させる終わり方をすることが多々ある。それはとても良いと思う。しかしこの二人に関しては想像へのとっかかりが少なすぎる。未知数である。

次回も今回のシリーズっぽいし、どうなるのか期待。と思いつつ、ぶつ切りの数箇所をただ見たような、30分への収まりの悪さを感じた。

とまあ、ぐちゃぐちゃとまとまりもなく綴ってしまったが、確実に面白く丁寧に作り込まれた世界観である。それを明確に客席に落とし込んだら絶対面白いと思った。ええと。まる。


後攻団体:劇団天文座「伝説の幕開け」

まず初めに言う。今日初めて見たが、俺は君たちのことが好きだ。この好きということを前提に綴る。

まず完成度的な。演劇作品を見に来た人はキレる。そのぐらい雑であまりにもゴリ押しだった。30分って言ってんのに約10分歌う。暴挙。もう一度言う。俺は君たちが好きだ。

ダイゴさんのコラムを読んでいたので何となくの状況はわかる。しかしそれは見にくる人には全く関係ないことだ。特に稽古不足なんて知ったこっちゃない。ギリギリな出演者もいたように見えた。勿論見る人によってはギリギリアウトだぜ?俺は好きだが。

ストーリーもよくよく思い返すと情緒が薄い。ハイスピードで展開する物語に苦悩や葛藤への解が超速だ。勿論その辺りを、まあいいか、にできるエネルギーがあったため見てて気持ち悪いとなるものではなかった。ガヤのシーンは好き勝手いらんこと言うてぐちゃぐちゃやりよって楽しそうだな俺も混ぜろよ。この構図が非常にコントっぽい。

進め方もそれっぽい有名曲にあやかって曲のもつ力に全力で乗っかるスタイル。もはや力こそパワーを具現化させたような演出。(私は感動シーンで翼をくださいを流し、終わりにLemonを流せばめちゃくちゃ感動する作品に昇華するといまだに信じている。)

確かにある種の「伝説の幕開け」を感じた。君たちがこのリーグを制覇した時この作品は何故か神格化されるだろう。

でもこんなバカみたいなやり口をバカみたいに疑いもせずバカみたいに汗かいてバカみたいに楽しんでる君たちを見れて僕は何となく幸せだった。バカだなあと思ったけど。そんな僕も間違いなくバカなのだ。

とまあ、ここまで綴って日をまたぐ。日課のTwitter冒険記。脚本演出さんのかな?想いに触れる。

ならば私も一応触れておこう。震災についての件。

主にアナウンサーの登場が一つの事象へ明確に強く結びつけてしまった。そこは悪手であったのではと思う。コントっぽい構図とこの事象への結び付きがある種反感を買ったのかもしれない。もう少し架空の出来事になれば柔らかいものになったのかも。と個人的には思う。

だが。僕は概ね脚本演出家の意見に賛成である。

一番悲しいのは忘れること。そうだと思う。忘れないように記した作品は沢山ある。

触れないことが優しさ。では済まない部分も沢山ある。傷つけて傷ついて乗り越えなければならないことは沢山ある。嫌でもついて回る。

僕はそういう意味で特定の題材を扱う覚悟に対して称賛を送る。

だがしかしだ。ただ使えばいいと言うわけではない。とも思う。

今回は傷つけた先の覚悟はどうだったのだろうか。批判を受ける覚悟はあった様だが。安全圏からただ傷つける覚悟を持った人間が傷つけてきたら。と思うと少し怖い。急に狙撃されたような気持ちになる。

傷つけてその傷を丸ごと全部抱えて生きる覚悟はあったのだろうか。

僕は当事者でもなければ被災者でもない。安全圏の関係のない人間だ。その人間がああだこうだ安全圏から何か言ってもどうしようもないことはわかってる。

覚悟を持つ、と言うことは簡単だ。じゃあ君はその覚悟をどう見せたのか。と問う。そうなればきっと少なくとも完成度を上げて雑な作りにはならなかったはずだ。

ここでもう一度言う。俺は君が好きだ。閉じこもるな。抗え。考え続けろ。どうやったら全員納得させられたのかを。君の伝説の幕開けはここからだろう。この傷が君の大きな財産になることを心から祈る。

とまあ長々とくそ偉そうに説教クサく綴ってしまった。悪い癖だ。ボロクソに批判してくれ。頼む。

僕が一番書きたかったのはこんなことじゃなくてだな。賞レースでこの作品を持ってくる勇気だ。そこがまず一番素晴らしい。僕は色々考えすぎて日和ってしまう。何を恐れているのかもわからないのにだ。

君たちからしたら至極当然のことなのかも知れない。でも僕からしたらそれは勇気なんだ。僕にはできない。できないからこそ悔しいし憧れる。

そして君たちの舞台上での生き様。これは見た人に勇気を与えるものだったと思う。どんな理由でも構わない。内容に対してでも人前でバカやってる姿に呆れてでも構わない。君たちを見て、理由はわからんが頑張れる気がしてきた、と今それぞれが抱えている問題へ一歩踏み出せた時、それがきっと僕らの“伝説の幕開け“なのだろう。そんな勇気をくれる作品だったような気がした。ええと。まる。


長文乱文失礼いたしました。

最後まで読んでくれてありがとう。

またね。


演劇ユニット衝空観:銭山 伊織


※このレポートは劇団天文座さまが30リーグ脱退前に執筆して頂きました

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